転倒について


このページは患者さんやご家族様にざっくりと理解してもらうことを目的にしています.学術的,専門的なご指摘はご容赦願います.

ただし明らかな誤りや不足点はご連絡願いただけるとありがたいです.

今日はコケること(転倒)についてお話します.
京北病院にもコケて怪我して大きな病院に運ばれて手術受けてリハビリしに帰ってこられる患者さんが結構いはります.

まずコケるとどうなるか..
まず痛いです.当たりまえ.
あ~痛かった..なんでこんなとこでコケたんや..
ですむ場合もありますが,それだけですまない場合もあります.

打撲や怪我だけなら放おっておいてもまあ,しっかり栄養取っていれば(食事をしっかりとってれば)それなりに治ってきます.
しかし骨折となるとそうは行きません.
放おっておいたらビデオの巻き戻しみたいに,自動で骨が折れる前の位置に戻って折れた骨どおしがくっついてくれるか...

折れた骨どおしをしっかり元の場所に戻して,それがずれないように長いこと(2ヶ月くらい)固定しないと骨どおしはくっついてくれません.

今みたいな手術手技がなかった頃は,股関節の骨折などはベッドに寝たまま折れた足を牽引して,骨どおしがひっつくまで待っていたそうです.
折れた骨どおしを元の場所に戻すことが難しい場合は,折れたところはあきらめて人口の骨で置き換えてしまう場合もあります.

どっちにしても痛いのは誰も代わってくれません.
痛いツライは自分持ちです.
背骨がグチャっと潰れる(脊椎の圧迫骨折),太ももの付け根が折れる(大腿骨頸部骨折・転子部骨折),親指の付け根が折れる(撓骨遠位端骨折)などが代表的なコケたときにやってしまう骨折です.
ひどい場合は首の骨を折ってしまって首から下が動かなくなってしまうこと(頸髄損傷)もあります.

コケることを甘く見てはいけません!!

入院,手術となると時間もおカネもかかります.
手術が済んで一段落したらリハビリもいります.
ちょっと入院してくるわ..ですむことではないくらいの長い時間がかかります(平均20〜40日の入院が必要).
(一般社団法人 日本骨折治療学会ホームページより)

それと言いにくいことですが,すべての人がコケる前と同じように歩けるようになるかというとそんな事はありません.
受傷前に屋外活動を一人で行うことが可能であった患者さんでも,半年から1年後に元通りに近い歩行能力を獲得できるのは,全体の50%程度にすぎません.(一般社団法人 日本骨折治療学会ホームページより)


だからっ!!
コケることを甘く見てはいけません!!

では,どうしたらいいのでしょうか?

それには..

  1. コケにくい環境をくつる
  2. コケにくい体をつくる
  3. フラフラする薬を飲んでいないか確認する

が大事です.

まず1のコケにくい環境ですが,わかりやすくするためにあえて「どんな環境がコケやすいのか?」を考えてみましょう.

 

 

足元にぐちゃぐちゃした配線.

 

よくありますね.これがいつもよく通る動線上にあればそれはそれは危険です.これはコケやすいです.ここを通るたびに足元に注意しないといけないし,その気が薄れている場合はコードに引っかかってしまいます.

スッキリとまとめるか,致し方ない場合はガムテープでとめてしまうなど「見た目にスッキリ」するようにしてください.

ラグやカーペット,玄関マットなどのめくり上がり

 

お歳をめしてくると思った以上に「つま先が上がっていない」ことがあります.

「横断歩道のあの白い塗装の厚み」でもつま先が引っかかるというのを聞いたことがあります.

まして家の中のこんなめくり上りがあれば危険です.

両面テープで固定するなどの対処をお願いします.

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